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みちくさラジオ ネモフィラ

リサ
「このあいだ、森で冒険していたら
青いお花がいっぱい咲いているところを
見つけたんだ!」
豊穣の女神
「それはネモフィラの花かもしれぬのぅ。
花びらが5つに分かれていて、真ん中に
白いぼかしの入っている…」
リサ
「確かにそんな感じのお花だったかも!
とってもキレイなお花畑だったから、
女神さまにも見せてあげたいな」
豊穣の女神
「おお、行ってみたいのぅ。
お弁当を持って、みちくさラジオの
出張編なんてどうじゃ?」
レスト
「花よりも俺は
食べれる野草、
もしくは毒草のほうが…」
豊穣の女神
「花より毒草のほうが
勝ることがあるのかえ」
豊穣の女神
「というわけで、今回の
おたよりはネモフィラじゃよ~!」
リサ
「やった~!」
レスト
「あとは任せた」
豊穣の女神
「観賞用の花になった途端
一気にやる気を無くすでない」
リサ
「ネモフィラ、
キレイなお花なのに」
レスト
「はいはい」
リサ
「もー…。
ネモフィラって、もともと
森に咲くお花なの?」
豊穣の女神
「そうじゃよ。原産地はカリフォルニア州で
森林の周りなど日当たりの良いところに
咲いておるんじゃ」
レスト
「ネモフィラという名前の語源も、
ギリシア語のnemos(小さな森)とphileo(愛する)が
組み合わさったものとされているね」
リサ
「あれ?
レストお兄さん、興味なさそう
だったわりに詳しい…」
レスト
「むーん」
リサ
「あっ、また
やる気なくしちゃった」
豊穣の女神
「めんどうくさいやつじゃのぅ…」
リサ
「解説のお兄さんが
やる気なくしちゃったら
みちくさラジオができないよ~」
豊穣の女神
「ふっふっふ、仕方がない。
そんなときのために、
わらわが調べてきたぞい!」
レスト
「わーい、
これでサボれるぞ!」
豊穣の女神
「お主は喜ぶな」
リサ
「ネモフィラの隠された秘密が
今、あきらかに…!!」
豊穣の女神
「これ、はーどるを上げるでない。
わらわが調べてきたのは、
ネモフィラの神話についてじゃよ」
レスト
「女神さまっぽいテーマだ」
リサ
「わくわく」
豊穣の女神
「あるところに結婚したばかりの
夫婦がおったのじゃが、
夫がすぐに亡くなってしまった」
リサ
「むむむ、ミステリーの予感!?」
豊穣の女神
「じつはその男は、
この恋が叶えば死んでも良いと
神に祈り続けていたのじゃ…」
レスト
「犯人は神」
リサ
「あっという間に
犯人わかっちゃった」
豊穣の女神
「神は男の願いを叶えはしたが、
命を賭けるという誓いも
忘れてはいなかったのじゃな」
レスト
「神ってそういうとこあるよね」
豊穣の女神
「そして夫を喪った女は、
冥府の扉まで夫を訪ねてやってきた」
リサ
「そんなところに
あっさりと行けるものなの!?」
レスト
「きっと、辿りつくまでに
ものすごい冒険ドラマが
あったに違いない」

「えっ、冒険ドラマのところ
もっと詳しく知りたい」
豊穣の女神
「ええい、あんまり
ちゃちゃを入れるでない!
話が進まぬ!」
豊穣の女神
「女は結局、夫に会うことは叶わず、
神に祈り、泣き伏したままネモフィラの花と
なったのじゃった…」
リサ
「壮大な冒険ドラマの
最後がバッドエンドかぁ…」
豊穣の女神
「このことから、ネモフィラには
『あなたを許す』という花言葉が
あるそうじゃよ」
リサ
「自分をおいて死んじゃうなんて
悲しいけれど、でも許すよってこと?」
レスト
「結婚をゴールだと勘違いしてた
おバカさんの話って感じ。
許さなくていいと思う」
豊穣の女神
「辛らつじゃのぅ。
切ない悲恋として少しは
しんみりしたらどうじゃ」
レスト
「置いて行かれる相手のことも考えないで
普通に自己中じゃない?」
リサ
「でもでも、それだけ
好きだったってことじゃない?」
レスト
「本当に好きだったなら
なおさら相手の幸せを考えるべきだよ」
リサ
「うーん、そういうものなのかぁ…」
豊穣の女神
「お主、案外ちゃんとした
恋愛観を持っているんじゃな…?
わらわ、びっくり」
リサ
「うん、レストお兄さんって
もっと適当そうなイメージあった」
豊穣の女神
「女泣かせてそうじゃよな」
レスト
「俺のイメージって
そんななの!?」
リサ
「ネモフィラってキレイなお花だけど、
悲しい神話になっているんだね。
花言葉も、しんみりな感じ…」
レスト
「でも『どこでも成功』っていう
前向きな花言葉もあるよ」
豊穣の女神
「それはネモフィラの爽やかな青に
似合った花言葉じゃのぅ」
レスト
「原産地のカリフォルニア州から、
遠いヨーロッパに渡っても力強く
根ざしたことから、という説があるね」
リサ
「今は日本の公園でもいっぱい咲いて、
とっても人気のお花だよね!」
豊穣の女神
「どこへ行っても咲き誇り、
その地の人々に愛されていく…。
確かに、どこでも成功しておるのぅ」
リサ
「ネモフィラって許すこともできるし、
どこでも成功もするし、もしかして
すごく強いお花なのかな…!?」
レスト
「あはは、そうかもね。
神話は悲しくても…、とても
前向きな花だと思うよ」
豊穣の女神
「…お主、じつはネモフィラが
好きだったりしないかえ?」
リサ
「そういえば、
興味なさそうなわりに
やたらと詳しい…」
レスト
「は?
べつにネモフィラなんて
どうでもいいけど?」
リサ
「ネモフィラにツンデレしてる!?」
レスト
「誰がツンデレだ」
豊穣の女神
「べ、べつに、あんたのことなんて
好きじゃないんだからねっ!
というやつかえ!?」
レスト
「言ってねーよそんなこと!」
レスト
「俺はどうでもいいけど、
幼馴染がネモフィラを好きで
詳しかったんだよ」
リサ
「そしてレストお兄さんは
その幼馴染のことが…!?」
レスト
「無いわぁ…。
いつも人のことを振り回す
はた迷惑なやつだと思ってたし」
豊穣の女神
「思ってた…?」
レスト
「もうこの世に居ないからね。
人のことをさんざん振り回して、
1人遠くに行っちまったよ」
リサ
「そうなんだ…」
レスト
「獣人で差別を受けていて、
病気の姉もいて…、だけど
いつも前向きだったな」
豊穣の女神
「それは、ネモフィラが特に好きな花
だというのも分かる気がするのぅ…」
レスト
「どんな境遇だとしても成功してみせるって、
いつも薬学の勉強をがんばっていたよ」
リサ
「あれ?
薬学をしていた幼馴染がいたから
レストお兄さんも植物に詳しいの?」
レスト
「ああ、うん、
幼馴染に巻き込まれて、俺も
同じ師匠のところで勉強を…」
豊穣の女神
「お主、やっぱり
ネモフィラが好きじゃろ」
レスト
「は!?
べつにネモフィラなんて
どうでもいいってば!」
豊穣の女神
「思い入れのある花じゃから、
悲しいイメージがつくのがイヤで
成功の花言葉の話をしたんじゃな?」
リサ
「ツンデレだ…!
やっぱりレストお兄さんは
ツンデレお兄さんなんだ…!」
レスト
「そんなんじゃないって!」
豊穣の女神
「はいはい。
今度、ネモフィラの花畑で
みちくさラジオ出張編をしようぞ」
レスト
「もー!
俺は絶対に行かないからな!」

【参考文献】
・近藤 米吉 著『植物と神話―花と木とロマンの詩』雪華社(1973)
・山田 隆彦 著『自然散策が楽しくなる! 花図鑑』池田書店(2022)