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みちくさラジオ ホタルブクロ

豊穣の女神
「みちくさラジオの時間じゃよ~!
すっかり暑くなったのぅ…」
リサ
「日傘をさしなさいって言われたけど、
邪魔だからめんどくさーい」
レスト
「日傘はいいぞ。
悪いことは言わない、さしとけ」
リサ
「日傘はいいぞおじさんだ!?」
レスト
「レストさんのことは
野草のお兄さんと言いなさい」
豊穣の女神
「そしてわらわは植物を愛する女神こと
植物お姉さんのエレオノーレじゃよ~」
リサ
「えっ、じ、自己紹介する流れ?
勇者のリサです」
豊穣の女神
「今回もこの3人で
おたよりの植物について
お喋りしていくぞい!」
レスト
「日傘ステマ回じゃなかったの?」
豊穣の女神
「ここは植物ラジオじゃが!?」
リサ
「あっ! このお花、見たことあるよ!
ホタルブクロっていうんだね、かわいい~!」
豊穣の女神
「6月から7月ごろに
野山や土手に咲くようじゃのぅ」
レスト
「この野草は!!
食える!!!!」
リサ
「!?」
レスト
「食える!!!
食える野草!!!!」
豊穣の女神
「な、なんじゃ急に。
どうしたんじゃ」
レスト
「今まで紹介してきた植物は
毒があって食えなかったから…」
リサ
「こんなにかわいいのに
食べちゃうのは勿体ないよ」
レスト
「オススメの調理法はてんぷら!
おひたし! サラダ ! 酢の物!!」
豊穣の女神
「食べることへの執着がすごすぎる」
リサ
「葉っぱのほうだけ食べるんだよね…?」
レスト
「花も!!
食える!!! 食う!!!!」
リサ
「えーん!
せっかくかわいいのに
やだよ~!!!」
豊穣の女神
「なんなんじゃ、まったく…。
お腹が減っておるのかえ?
ほら、くっきーをお食べ」
レスト
「いや、別に、食べられる野草という存在が
好きなだけでお腹が減っているわけでは…。
もぐもぐ」
豊穣の女神
「ほら、リサちゃんもくっきーを食べて
機嫌をなおしておくれ」
リサ
「やったー!
もぐもぐ」
豊穣の女神
「ホタルブクロは雨降り花という
別名もあって、花を摘んだら
雨が降ると言われているそうじゃ」
レスト
「急にオシャな話を始めないでよ。
びっくりするじゃん」
豊穣の女神
「急に食べる話をされた
わらわ達のほうがびっくりしたのじゃが!?」
リサ
「さいきんお日様カンカンが続いてるから、
ホタルブクロを見かけたらいっぱい摘もうかな」
レスト
「ホタルブクロを摘んだら、花の中に
蛍を入れて遊んでみるのもどう?」
リサ
「ホタルブクロだけに?
オヤジギャグ?」
レスト
「子どもたちが蛍を入れたから
ホタルブクロという名前になったという説が
あるんだよ。だからオヤジ扱いやめてね」
豊穣の女神
「花の形がちょうちんに似ているから
『火垂る袋』という説もあるぞい」
リサ
「ほへぇー…。
お花のなか広そうだから
蛍が自分で入ってきたりもする?」
レスト
「残念ながら蛍は入ってこないけれど、
ハチさんなら入ってくるよ」
リサ
「あ、わかった!
ハチさんが花粉を運ぶんだね!」
レスト
「大正解!
だけど、そこには壮絶なドラマが
あってね…?」
豊穣の女神
「なんかこの流れ、
紫陽花のときもあったような」
リサ
「お花ってみんな
いろいろドラマがあるんだね」
レスト
「ホタルブクロはまず、
おしべが花の中に花粉を残して
枯れるところから始まる…」
豊穣の女神
「本当に壮絶じゃな!?」
レスト
「そして、めしべは形見の花粉を手に、
おしべの意志を継いで男装を…!」
リサ
「ホタルブクロは男装系ヒロインだ!」
レスト
「男装したホタルブクロにハチたちが
寄ってきて、まるで王子様のようにモテモテに」
リサ
「学校は共学?」
豊穣の女神
「リサちゃんのなかで
いつのまにか学園ドラマと
いうことになっておる…?」
リサ
「こういうドラマは
学園ものが定番でしょ!」
レスト
「寄ってくる働きバチはメスだから
共学か女子校かな…?」
リサ
「女子校に男装して行くのは変だから、
共学だね! 亡くなった弟のフリをして
ホタルブクロ学園に行ってるんだ!」
豊穣の女神
「おしべがいつのまにか
弟設定になっておる」
リサ
「男装したホタルブクロは
なにをするの? 今後のドラマの
展開にかかわってくるよ!」
レスト
「ホタルブクロは寄ってくるハチたちに
形見の花粉を渡していくんだ」
リサ
「これが男装した目的…!」
レスト
「寄ってくるハチはいろいろ
いるけれど、メインターゲットは
マルハナバチというハチさんだよ」
豊穣の女神
「攻略対象が決まっておるのじゃな」
レスト
「他にもコハナバチやヒメハナバチとか
寄って来るんだけど、花粉はスルーして
蜜だけ持って行ってしまうんだよね」
リサ
「おいしいとこだけ
持って行っちゃうんだー…。
取り巻き女子軍団と呼ぼう」
豊穣の女神
「取り巻き女子軍団!?」
レスト
「蜜を手に入れることすらできない
ハナアブっていう虫さんもいるよ」
リサ
「モブ軍団と呼ぼう」
豊穣の女神
「な、なんと哀れな…」
リサ
「花粉を渡し終わったら、
ホタルブクロは男装をやめるの?」
レスト
「そうだね。でも、そのあとも
もうしばらくドラマは続くよ」
リサ
「ドラマは男装学園編から
OL編へ…!」
豊穣の女神
「大人になった」
レスト
「女の子に姿に戻っても
ハチたちはホタルブクロのところに
引き続きやってきて…」
リサ
「おお!」
レスト
「今度はハチたちが花粉を
ホタルブクロに渡していくんだ」
リサ
「激アツ展開きた!」
豊穣の女神
「今度は受け取る側になるのじゃな…!」
リサ
「ここで恋が実るわけだね。
全ハナアブが泣いた」
レスト
「み、蜜にもありつけなかった
モブくんたちは元気だして…」
リサ
「幸せならそれでオッケーです!」
豊穣の女神
「ハナアブたちも祝福しておる」
リサ
「カンペキな恋愛ドラマだったね!
ハッピーエンドでリサも満足だよ、むふー」
レスト
「コハナバチやヒメハナバチたちが
シマホタルブクロと花粉を交換する
スピンオフもあるよ」
豊穣の女神
「シマホタルブクロは
ちょっと小さめの花の子じゃな」
リサ
「取り巻き女子軍団が
救われるドラマも用意されてるなんて…。
ちなみに、ハナアブは?」
レスト
「ハナアブはあいかわらず
ただのモブだね…」
豊穣の女神
「は、ハナアブ…!!」
リサ
「全ハナアブが泣いた」
レスト
「今回、テーマのホタルブクロより
ハナアブのほうが印象に残ってない…?
レストお兄さん、心配になってきたよ…」

【参考文献】
・大場 秀章 監修『植物のプロが伝える
おもしろくてためになる植物観察の事典』山と溪谷社(2024)
・稲垣 栄洋 著『野に咲く花便利帳』主婦の友社(2016)
・山田 隆彦 著『自然散策が楽しくなる! 花図鑑』 PHP研究所(2022)